この記事では有名な推論手法である三段論法について説明します。
単なる手法の紹介だけでなく、三段論法をきちんと活用するための重要なポイントと合わせて解説しています。是非読んでみてください。
目次
問題:鈴木さんの年収はいくら?
ある企業調査の結果、以下のような事実がわかったとします。
- A社の社員の年収は少なくとも500万円以上である。
- 鈴木さんはA社の社員である。
さて、鈴木さんの年収は500万円以上でしょうか?それとも500万円よりも少ないでしょうか?
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鈴木さんの年収は500万円以上です。
簡単ですね。
解説
以下のように、大前提と小前提を組み合わせて結論を導く手法を三段論法と呼びます。
- 大前提:AならばBである。
- 小前提:XはAである。
- 結論:よってXはBである。
例えばこの問題では、大前提・小前提・結論は具体的には以下のようになります。
- 大前提:A社の社員の年収は少なくとも500万円以上である。(ある人がA社の社員ならば、その人の年収は少なくとも500万円以上である。)
- 小前提:鈴木さんはA社の社員である。
- 結論:よって鈴木さんの年収は少なくとも500万円以上である。
重要なポイント
三段論法では、もし大前提も小前提も正しければ結論も正しい、ということしかわからないことに注意してください。
大前提や小前提自体が本当に正しいかどうかは三段論法からはわかりません。この問題でいえば、A社の社員の最低年収は本当は500万円以上ではないかもしれません。
更に、大前提にも小前提にも書かれていないことの正しさは三段論法では判断できません。例えば、佐藤さんという人がA社の社員かそうでないかは大前提にも小前提にも書いてありません。また、大前提と小前提がちぐはぐな場合も、三段論法からは何もわかりません。例としては、B社の社員の田中さんの年収については、A社に関する大前提からでは結論が得られません。
問題:ポチの足は何本?
次の問題です。
さて、ポチの足は何本でしょうか?
ヒント:三段論法の正しい使用法を確認するためのひっかけ問題です。前問の解説をよく読んでから考えてみてください。
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正解は、実はポチはタコなので足は8本でした。
解説
大前提は猫の足について説明しています。一方、小前提はポチが猫ではないと述べています。つまり、大前提と小前提が噛み合っていません。この大前提と小前提には三段論法は適用できず、ポチの足が何本かはわからないと結論づけるのが正しい考え方です。
なお、犬は4本足なのでポチも4本足である、と考えた方は注意が必要です。ポチは犬によく使われる(と思われている)名前ですが、問題文にはポチが犬であるとは書いてありません。ただ、猫ではないと書かれているだけで、それはポチがタコであることと矛盾しません。
物事を考える場合には、明示されていないことを想像する力も重要ですが、思い込みを回避して様々な可能性を考えることも大切です。
※ポチがタコなのは、具体的な本数が定まっていないとクイズとして座りが悪いため、適当に決めただけです。4本以外であればイカでも蜘蛛でも何でも良かったです。
終わりに
いかがでしたでしょうか?
論理的に考える力は様々な場面で役に立つ非常に重要な力です。
当サイトでは練習問題を追加していきたいと思います。お読みいただきありがとうございました。