大まかな方針
まずは、自動車の数を利用目的に合わせて分解してみましょう。
[自動車の数]=[一般家庭が保有する自動車の数]+[企業が保有する自動車の数]
次に、二つの項をそれぞれ別々に見積もっていきます。
一般家庭が保有する自動車の数
一般家庭が保有する自動車の数は、次のように分解できます。
[一般家庭が保有する自動車の数]=[世帯数]×[世帯あたりの自動車保有数]
この解説では、世帯数は暗記しているものとして、単に代入してしまいます。2021年現在の日本の全世帯数は約6000万世帯です。あとは、世帯あたりの自動車保有数を見積もれば、一般家庭が保有する自動車の数を見積もることができます。
都市部では自動車を全く保有していない世帯も多いのではないかと思います。一方、車社会の地方では、一つの世帯で複数代保有している場合も多いのではないでしょうか。
厳密な比率を正確に見積もるのは中々難しいですが、非常に大雑把には平均1世帯が1台の自動車を保有していると考えてもそこまで大きくずれてはいないのではないかと思います。以上より、一般家庭が保有する自動車の数の見積もりは以下になります。
[一般家庭が保有する自動車の数]≒6000万世帯×1台/世帯=6000万台
企業が保有する自動車の数
次に、企業が保有する車の数はどのように見積もれば良いでしょうか?
企業の業種や規模などから見積もる方法も考えられますが、あまり良い方法ではありません。運送業の保有数+建設業の保有数+…と分解していくと、最後には運送業の事業社数や業種別の保有率が必要になるためです。
他の方法としては、もっと簡単かつ大雑把に、日本の人口から次のように見積もることもできそうです。
[企業が保有する自動車の数]=[社用車を運転する人数]×[運転する人一人あたりの社用車数]
[社用車を運転する人数]=[日本の人口]×[社用車を運転する人数比率]
日本の人口も暗記しているものとして、単に代入します。2021年現在の日本の全世帯数は約1億2500万人です。ソースは総務省の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」などを参考にしてください。
社用車を運転する人数比率は、自分の知識などから見積もりましょう。大まかに5%くらいでしょうか。
運転する人一人あたりの社用車数も知識や感覚から見積もります。運送業や工事車両の運転は、一人の運転手の方が一台を占有して作業するイメージがあります。一人あたりに二台以上の専用車を割り振る企業は流石にほとんど無いのではないかと思います。複数人で一台の営業車両を使い回すような仕事のことも考えると、大雑把に0.5台/人くらいではないかと思います。
以上より、企業が保有する自動車の数の見積もりは以下のようになります。
[企業が保有する自動車の数]≒1億2500万人×5%×0.5台/人≒300万台
合計
二つの見積もりを合計すると、日本にある自動車の数は以下のような見積もりになりました。
[自動車の数]≒6000万台+300万台=6300万台
答え合わせ
国土交通省の「数字で見る自動車2021」の「自動車保有台数の推移」によると、2020年3月の台数は以下の値とのことです。
[自動車の数]≒8185万台
[一般家庭が保有する自動車の数]≒7975万台
[企業が保有する自動車の数]≒210万台
フェルミ推定で実現可能な精度としては、それなりに近い数値が得られたのではないでしょうか。より正確には、一般家庭の自動車の数はもう少し多かったようです。
あなたの答えはいかがだったでしょうか?