この記事では、日本で飼育されている犬の数を題材に、フェルミ推定によって知りたい数値を見積もる方法について説明します。
フェルミ推定とは
フェルミ推定とは、一言で言えば、知っている数値や想像のつく数値を使って、知らない数値を見積もる方法です。
例えば、以下のような問題が与えられたとします。
日本で飼育されている犬は全部で何匹でしょうか?
インターネットで検索すれば調査に基づいた推計値がすぐに出てくるのですが、フェルミ推定で考えてみましょう。
ステップ1:式変形
飼育されている犬の数は次のように式変形できます。
二つの未知数が登場しましたが、最初の数については、更に次のように式変形できます。
ステップ2:未知数の見積もり
次に、3つの未知数の値を大まかに見積もりましょう。
まず、犬を飼育している世帯の割合は、個人で正確に調査することはできませんが、自分の友達や近所の世帯がどれくらい犬を飼っているかで大雑把に決めてしまいましょう。大体10%くらいでしょうか。
世帯当たりの飼育個体数も大雑把に決めてしまいます。複数飼いをしている世帯のことを考えると1.5頭くらいでしょうか。単位は犬の大きさによらず全て頭にしました。
最後に、日本の世帯数は、様々な資料に登場するため、知っている方が多いのではないかと思います。2021年の日本の全世帯数は約6000万世帯です。
参考:総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」
今回は、たまたま事前に暗記していたものと仮定して、この数値を用います。
なお、もし日本の世帯数を知らない場合は、日本の人口などから更に概算するという方法もあります。
全てを組み合わせると、以下のように計算できます。
答え合わせ
一般社団法人ペットフード協会が2020年に調査した全国犬猫飼育実態調査によると、当時の飼育数は推定848万9千頭とのことです。この数字も、全ての個体を一頭ずつ数え上げたわけではなく間接的な見積もりのはずですが、おそらく何らかの実測データに基づいたかなり正確な数値だと思います。
それに対して、フェルミ推定でも約900万頭と、割と近い値を見積もることができました。
このように、推定しやすい未知数の組み合わせに式変形することで、知りたい数値の近似値を求められるのがフェルミ推定の強みです。
終わりに
いかがでしたでしょうか?
有名な手法なので、ご存知の方も多いのではないかと思います。
現代ではネットで検索すればすぐに調べられる情報も多くなりましたが、まだまだ自分の頭で考えて見積もる力も非常に重要です。フェルミ推定はコンサルティング企業のケース面接でもよく出題されるらしいです。ビジネスで必要な力を採用面接で調べているわけですね。
当サイトでは練習問題を追加していきたいと思います。お読みいただきありがとうございました。